中村ローソクが創業したのは1887年(明治20年)。以降125年以上もの間、和・京蝋燭を作り続けています。
お供えとして使用できる和・京蝋燭は、古くから仏事に用いられてきました。しかし、石油系原料を使った西洋ローソクの普及と共に、その需要は減ってきているのが現状です。また、見た目を似せただけの製品を、本物だと思って使っている方も少なくありません。
こうした実情を受け、伝統工芸の一端を担う者として危機感を感じ、和・京蝋燭の歴史を廃らせてはいけないと感じています。
確かに、手作りの和・京蝋燭は、量産されている西洋ローソクに比べて決して安価ではありません。しかし、西洋ローソクにはない、日本伝統の技や美が表現されている和・京蝋燭の魅力は、筆舌に尽くしがたいものです。
中村ローソクでは、多くの人が和・京蝋燭の魅力に触れてもらえる機会の創出に努めております。これからも、香り付きの蝋燭やインテリアにも使用できる商品など、伝統を守った製法で新たな和・京蝋燭を生み出し、その魅力を伝えてまいります。
和蝋燭の大きな特徴は、その独特の燃え方。空洞の芯が中に入り空気の流れを作るため、炎が大きくゆっくりと揺らめき、神秘的で情緒のある雰囲気を醸し出すのです。また、風のない場所でもゆらゆらと揺れる炎は、多少の風で消えることはありません。
植物性の原料で作られている和蝋燭の光は、西洋ローソクと比べるとほの暗いオレンジ色です。これは、石油系よりも植物性の蝋は融点が低いため、優しく目に映る温かみのある灯火になるのです。