コラム
2016.12.15
白ろうそくと赤ろうそく(朱ろうそく)のはなし
日本の伝統的な和ろうそく、現在は淡いピンク色や水色などカラフルなものもありますが、昔から作られている基本的なものは白ろうそくと赤ろうそくです。
京都で和ろうそくを製造・販売する中村ローソクでもこの2色をメインに取り扱っています。
銀と金の和ろうそくもありますが、銀は白、金は朱でそれぞれ代用が可能ですので、今回は白ろうそくと赤ろうそくに着目しておはなしをしていきます。
白ろうそくと赤ろうそくの使い分け方
白と赤、この2色のろうそくにはそれぞれ意味があり、宗派によってその使い方が決まっています。
最もスタンダードで目にすることが多い白ろうそくは、一般的には葬儀や中陰、一周忌、三回忌くらいまでの年忌法要や祥月命日、月命日などの法要の際に使います。
また、毎日のお勤め、あるいは月参りなどで使うのも白ろうそくです。確かにお仏壇やお墓では白ろうそくが灯されているのをよく見かけますよね。
そして朱ろうそくと呼ばれる赤い和ろうそくは、浄土真宗では、七回忌からの年忌や彼岸・お盆などで使用されることが多く、その他にも正月や仏前結婚などおめでたい事を報告する法要や儀式の際、お仏壇のお精入れ、お墓の建立時など、意外に使う時が多いものです。
また、浄土真宗以外では、三回忌からの年忌で使用する宗派もありますし、中にはお願いごと(家内安全、良縁成就、厄除け開運などなど…)をする時に使う宗派もあります。
朱ろうそくの意味
以上のようにおめでたいときやポジティブな使い方をされることが多い朱ろうそくですが、こんな意味を持っています。
『この世で私たちは、俗世間のさまざまな欲にまみれて生きているが、その垢にまみれた私たちは、亡くなることによって仏さまのご縁で帰化させていただくことができる』
「亡くなる、死去する」ということを前向きにとらえられるこのような仏教のありがたい教えに基づいて、おめでたい使われ方をしているということなのですね。
そんなこと言われても正しく使い分けるのは難しい!?
でも大丈夫!
白ろうそくと朱ろうそくの使い方や意味についていろいろとご紹介してきましたが、ここでおはなししたのは一般的なもので、各宗派の考え方や地域の慣習によってその使われ方は様々ですから、これが絶対に正しい!というわけではありません。
また、ろうそくはあくまでも照明、お灯りです。
「道を照らすあかり」「無明の闇を照らしてくれる真のあかり」ですから、あまり難しく考えて形式やしきたりにとらわれすぎなくてもよいでしょう。
菩提寺の住職曰く、何よりも「故人を偲んであげる事、思い出してあげる事が大切」とのこと。
これからも故人を思う気持ちを胸に、ろうそくに明かりをともしましょう。